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MMAA exhibition 2017

2015年に続き2回目となる、アクセサリーブランド “MMAA” (エムエムエーエー)の展示販売会を開催いたします。
MMAAは、作家である前田真理子が、マテリアル(素材)へのリサーチを通して、自然界と人の営みについて観察し、コンセプト設計、デザイン、実験を繰り返し製作するブランド。その取り組みには、私たちgrafのものづくりに通じるものを感じます。

今回のラインナップは昨年末に発表された新作を含む、「 oto 」「 ground 」「 notok 」の全3シリーズ。「 notok 」については、彼女自身が実際に日本の各地で採取した“ 石 ”を展示し、“ 作家の視点 “と合わせて紹介します。

また、会期中には作家本人を講師に迎え、MMAAの代表的なマテリアルであるアクリル・金属・石を用いて、製作プロセスを実際に体験していただくワークショップを行います。是非、店頭でMMAAの洗練された世界観をお楽しみください。

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開催期間/2017年4月21日 (金) ~ 2017年5月7日 (日)
営業時間 / 11:00 – 19:00
場所 / graf (大阪市北区中之島4-1-9 graf studio)
定休日 / 毎週月曜日(祝日の場合は営業、翌日休)
問い合わせ / graf shop
tel. 06-6459–2100
mail. shop@graf-d3.com

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workshop by MMAA

開催日時/ 2017年4月22日 (土) 18:30~ 2.5h 程を予定
場所 / graf (大阪市北区中之島4-1-9 graf studio)
講師/ MMAA 前田真理子
定員/ 6名
参加費/ ¥4,500 (税込)
予約 / TEL:06-6459-2100
担当 :湯浅

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プロフィール
MMAA (エムエムエーエー)
前田真理子 / maeda mariko
日本大学芸術学部卒
2013年 MMAA立ち上げ
2014年 本格的に活動スタート
2014.07 ワークショップ「音を装う 音の形のブローチ作り」( 練馬区立美術館 )
2014.09 一点展 ( SHISEIDO THE GINZA )
2014.10 3 人展「she」( undō )

2015.05 個展:MMAA exhibition ( graf )
2015.07 spiral market selection vol.320 ( spiral 青山 )
2015.10 個展:MMAA study 2015 I’m not OK, You’re not OK. ( undō )
2016.02 MMAA LIMITED SHOP ( 伊勢丹新宿本館 1 階 )
2016.05 orders meeting of new ring ( steef )
2016.12 New Jewelry ( 3331 Arts Chiyoda )
etc…

現在「 oto 」「 ground 」「 notok 」という3つのシリーズを展開。
今年の2月にはVOGUE JAPANに取り上げられるなど、着実に注目を集める。

oto series
MMAAをスタートするきっかけとなったシリーズ。
柔らかい布を樹脂で固め、形のない音の形を表現します。

ground series
”地面”をテーマに、アクリルを手作業でひとつひとつ削り出し、熱を加えて製作。
大地(溶岩)とアクリルに共通する、熱で溶けて冷え固まる性質。
そんな自然と科学の遠いようで近い性質に着目したシリーズ。

notok series
人工的な”アクリル樹脂”と”石”という相対するマテリアルを組み合わせたシリーズ。
“共存”をテーマに、人と自然の関係を見つめ直します。
名称は精神科医エリック・バーンが考案した”交流分析”に由来する
自身の過去の個展「I’m not OK. You’re not OK.」より。

WEB : http://maedamariko.tumblr.com/
FACEBOOK : http://www.facebook.com/mmaa.maedamariko
INSTAGRAM : http://instagram.com/mmaa_maeda/

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notok seriesでメインに据えているマテリアルは”石”。中でも海や川にある自然石に着目しています。石には色んな意味がある(と言われています)。けれど、誰がその意味を考えたのか。ある日を境に、今まで気にもとめていなかった、
その辺りに転がっている石に対してそんな想いを抱くようになりました。

きっかけとなったのは2015年のはじめの(ISILによる)日本人拘束事件。速報が入るたびに緊張が走ってうまく眠れず、気晴らしに公園を歩いていたときに、ふと公園に転がる石が気になり持ち帰りました。
その日はずっと作業部屋に籠もり、普段使っている樹脂や樹脂粘土を拾ってきた石と絡ませ、何かよくわからないものを沢山つくりました。祈りにも似た感覚と、この先には何かありそうだという確信だけを覚えています。3.11以降の遣る瀬ない気持ちもそこには乗っかっていたように思います。その後、なぜこんなにも石に惹かれたのか。リサーチする日々が続きました。それと同時にテロも激化し国会議事堂ではデモも規模を拡大します。

リサーチしていく中で”石には境界をつなぐ力がある”という言葉を見つけ、一気にコンセプトが立ち上がり、このシリーズは”共存すること”を考え続けるために作っていくこととなります。
石と樹脂という相対するマテリアルの共存を通して、世界や社会について見つめ、そしてそれを継続していくこと。考え続けていくこと。この頃から、何かを作る行為そのものが持つ力にも着目しはじめます。身につけるものはいつも自分のそばにあって、自分を形成する一部となっていく。コンセプトに対してアクセサリーを媒体とすることが改めて重要だと感じ、このシリーズ作りは確かなものとなりました。

リサーチには民俗学の本を読む事も多く、各地で石にまつわる神話や言い伝えが沢山あることを改めて知ります。現代のスピリチュアルな雰囲気よりも、生活の知恵からつながる地域信仰といった印象。地球はどこまでも平らな地平だと信じられていたような時代。気候ひとつとっても、たまらない恐怖が続く日もあったでしょう。治らない病も多かった。その中で、時間が経っても形をほとんど変えず硬く強い石は、人々の生活の道具はもちろん、精神的よりどころにもなっていっただろうと想像します。川や海へリサーチに出かけて石を観察している時、ただなんとなく歩いていると足元は砂利ですが、想いを届けるための石を探し出す気持ちを追いかけてみよう、と考えて見る足元の風景は、まったく違うものとなります。

今まで、東京、静岡、滋賀、京都、富山、栃木、沖縄、高知、と石にまつわる話が色濃く残っている場所や、石が有名な地域へ旅をしてきました。その中でも、沖縄はとても印象深く、新作づくりに強く影響を与えることとなります。沖縄では、琉球信仰の名残を感じられる場所を訪ねたのですが、そこでは、生と死に対する湿度があまりなく、自然に受け止められているという、東京暮らしでは感じることができない感覚がありました。
ゆっくりとした時間の流れを掻き消すように聞こえる軍事ヘリの音が今も耳に残ります。

旅の途中、フェリーに乗って久高島へ。琉球神話の聖地と呼ばれる久高島には、御嶽(ウタキ)という祭祀を行う聖域があります。1978年以降、後継者不足により祭祀は行われていないようですが、資料を拝見することができました。
女性が身に付けているものを中心に見ると、白装束に石を連ねた首飾り、頭には植物が飾られています。(他の島の資料館では、銀製のかんざしで髪をまとめていたという記述も。)民俗学の文献には、祈祷の際に石と銀を身につけるという話はよく出てきますが、沖縄でもやはり同じような風習があったようです。島には、年のはじめに男子一人につき伊敷浜の石を3つ拾いお守りとして家に置き、年末に浜に戻すという習わしもあるそうです。伊敷浜から見える水平線の先は神のいる地であり、年のはじめには神がやってくるとされています。神聖な浜なので遊泳は禁止です。もちろん浜の石や珊瑚を島の外へ持って出ることも出来ません。

沖縄からの帰路にふと、今の時代に石を身につけ共存について思いを馳せ祈る女性たちがいたら。その女性達はどんなものを身に付けているだろう。そんな事を考え形にしたものを新作として発表しました。今回の展示では、昨年末に発表した新作を含む notok series をメインに、3シリーズ全ての展示を行います。